この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
ご相談者様の夫が亡くなりました。遺言書(自筆証書遺言)には封印がされていましたが、夫から生前、「妻(ご相談者様)に全財産を相続させる」という内容の遺言書であると聞かされていました。亡夫には兄弟姉妹が多く、その全員が亡くなっているため、甥(おい)や姪(めい)など、自分以外にも大勢の相続人がいるのですが、遺言書のとおり無事に相続はできるのでしょうか。
解決への流れ
遺言書のうち公正証書遺言は検認(相続人全員に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、その全貌を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するために、裁判所に申立てて行われる手続)をする必要はありませんが、自筆証書遺言(法務局に保管されているものを除く)の場合は検認の手続きを経なければいけません。ご相談者様夫婦の間にはお子様はなく、亡夫のご両親も他界されていましたが、亡夫には兄弟姉妹が多く、その全員が既に亡くなっていたため、甥や姪などが相続人になっており、それらの方々の多くは所在や生死が不明だったため、日本各地で戸籍の調査を行い、明治時代の戸籍まで辿り、その結果、20名以上の相続人がいることが判明しました。それにより、無事に検認の申立てとその手続きを行うことができ、遺言書のとおり全財産をご相談者様が相続することができました。
被相続人にお子様がおらず、ご兄弟ご姉妹が多い場合、疎遠などにより、相続人全員の所在や生死の把握が困難となり、相続の手続きが難航することがあります。甥や姪の所在や生死となるとなおさらです。そのような場合は、弁護士が戸籍を辿って相続人の調査を致します。相続人の調査は遺言書の検認だけではなく、遺産分割などの際にも必要ですので、是非ご相談ください。