この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
ご相談者Aさんとその妻B子さんは、結婚して約20年になる夫婦でしたが、ちょっとした行き違いから喧嘩となりました。そして、B子さんからしばらく冷却期間を置きたいとの申し出があり、別居が開始されました(AさんとB子さんとの間には、未成年の2人の娘さんがいましたが、その2人の娘さんはAさんのもとに残りました。)。しかしながら、別居して1年ほど経った時に、いきなりB子さんから離婚の申し出がなされ、それに対し、Aさんは離婚を拒みました。その後、B子さんから裁判所に離婚調停の申し立てがなされましたが、Aさんが離婚を拒んだため、調停は不成立となりました。そして、今度はB子さんから裁判所に離婚と財産分与300万円を請求する訴訟が提起されました。Aさんは、当該訴訟の代理を私にご依頼されました。
解決への流れ
離婚訴訟においては、B子さんは、Aさんが過去に何回か家族に内緒でサラ金から借金をしていたことなどを持ち出して、それが遠因となり夫婦関係は破綻しているなどと主張してきました。当方は、B子さん側が主張する夫婦関係の破綻を基礎付ける事実について丁寧に反論していった結果、B子さんから離婚と財産分与の請求は棄却され、勝訴判決を得ることができました。ただ、この件には後日談があり、B子さんの離婚請求が棄却されても、B子さんは家に戻ることはなく、その後も別居が継続されました。そして、その約12年後、Aさんが勤務先を退職する時期を見計らってB子さんから離婚調停の申し立てがなされました。そのときは、Aさんも離婚に合意し、AさんがB子さんに解決金として300万円を支払うとの内容で調停離婚が成立しました。
Aさんとしては、B子さんからの一方的な離婚要求に対する反発もありましたし、未成年の子もいたことから、B子さんからの離婚請求訴訟では徹底的に争って請求棄却の勝訴判決を得ました。しかしながら、それでB子さんの気持ちが変わるわけではなく、その後も別居が継続され、関係修復に向けた努力も特には行われませんでした。そして、約12年の時を経てB子さんから離婚調停が申し立てられたものですが、これだけの別居期間があれば、訴訟に至った場合に婚姻関係の破綻が認定されることは明らかでした。また、それまでにAさんはB子さんからの請求がなかったので婚姻費用を支払ってこなかったことや退職金の額(もちろん支給額全額ではなく、婚姻期間中の同居期間に相応する部分)を考慮すると、財産分与の額はかなりの金額になる可能性がありました。そこで、Aさんと相談し、離婚調停においてできるだけ有利な解決金の支払条件での離婚を目指しました。