この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
配偶者の方からのご相談でしたが、被相続人との間に子がおらず、法定相続人として多数の兄弟姉妹がおり(すでに亡くなって代襲相続となっていた方も含む)、すでに疎遠だったこともあり親族間での協議は困難な状況でした。これに加え、被相続人の遺産は自宅不動産(土地・建物)の他、多少の預貯金があるのみで、ご相談者(配偶者)にとっては、自身がそのまま自宅不動産を単独相続し、今後の生活を続けていきたいものの、他方で代償金を負担する余力は乏しい状況でした。なお、遺言は残されていませんでした。
解決への流れ
まず、被相続人とご相談者(配偶者)の生前の生活状況や、これまでの親族間の関係性等を詳細に聞き取りました。その上で、各法定相続人宛に、代償金なしで単独相続させていただきたい旨をお願いする連絡書面をお送りしました。なお、同書面の内容については、上述の事情を盛り込みつつ、かつ感情的反発を煽ることのないよう注意しながら、慎重に検討いたしました。その後、一部の法定相続人の方からは反発するような内容の電話連絡もあったものの、粘り強く交渉した結果、最終的には皆様にご納得いただき、代償金なしで配偶者が全遺産を単独相続するという内容の遺産分割協議が成立しました。
特に相続事件については感情的対立が発生しやすく、ちょっとした言葉遣いや態度が後々まで尾を引くこともあります。弁護士という第三者が絡むこと自体、感情的に反発される引き金にもなりかねません。このため従前の経緯等も踏まえつつ、関係者の気持ちの落ち着きどころを探ることが重要と考えます。また兄弟姉妹が法定相続人となる場合、必ずしも生前の関係性が密接とも限らないことから、遺産分割の場面ではスムーズに進まないことも多々あります。お子さんがいらっしゃらない場合には、生前に遺言書を作成しておく等して、将来の相続紛争を予防するという観点も非常に重要です。