この事例の依頼主
40代 女性
夫の不倫を疑い相談。当初、相手の携帯番号のみしか分からない状況(部下とも分からなかった)でした。そこでまず、携帯電話会社へ弁護士法照会をかけてもらったところ、氏名住所等が判明しました。夫は金曜日に帰宅が遅いことが連続していたため、弁護士に紹介していただいた探偵会社を使ったところ、不倫相手アパートに入る姿を数回確認。その他、一緒の飲食のレシート、クレジットカード使用履歴等の証拠をできる限り収集しました。その上で、私から夫へ話を向けました。幼い子どもが2人いたこともあり、夫が不倫を認め謝罪反省すれば、離婚しない意向であったものの、夫は完全否認。そのため、離婚を固く決意しました。そこで、まず、弁護士名で不倫相手へ内容証明(夫へは連絡しないよう警告)。不倫相手は、警告に応じて夫には連絡せず。不倫を明確には認めないものの、穏便な解決を希望し、弁護士が交渉し、示談しました。不貞相手との示談書も証拠とした上で、夫へ離婚調停申立てを依頼しました。また、私が同居に耐えられなくなり子どもを連れて実家に戻ったので、婚姻費用分担調停申立ても依頼しました。
慰謝料・財産分与・親権・養育費と、離婚までの婚姻費用分担を請求。調停において、調停委員へこれまでに収集した証拠や示談書を示しました。調停委員が夫へ話をし、夫も全てではないものの不貞を認めたとのことでした。弁護士からは、不貞の証拠は十分との認識のもと、低額な慰謝料にしか応じないのであれば、裁判を辞さないという強い態度で進めることを助言されました。先に算定表どおりの婚姻費用が調停でまとまりました。その後の離婚調停で、夫も、不利を悟り、夫婦共有財産の半分以上を解決金(慰謝料+財産分与)として支払い、親権も養育費もこちらの意向に沿う調停が成立しました。
今回は、まず不倫相手女性に請求する進め方にしたことが効を奏しました。結果的に首尾よく先に不倫相手女性と示談できたことで、「不貞がないなら示談するはずがない」という強い心証が得られました。また、その他の証拠を収集しておいたこともよかったといえます。探偵は高額と思われるようですが、弁護士が紹介する探偵は良心的な価格のようです。当初夫が完全否認したのは、不倫相手と一緒になればよいという安易の考えもあったのでしょう。しかし、先の示談で、もし今後夫と交際等した場合は違約金を支払うという条項を入れ、相手女性からも縁を切られました。先手先手を読み、手持ちの証拠を固め、それを時機に応じて有効活用していくという進め方は、これまでの同種事案の経験をいかしています。妻側は、親権が取れるかどうかを一番心配されますが、原則として女性側に親権が認められます。また、算定表どおりの婚姻費用、養育費が認められるのが通常です。