この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
相談者と同居していた母親が相談者に全財産を渡すという自筆の遺言を書いて亡くなったところ、他の相続人である弟から遺言の無効を主張され、かつ相談者が勝手に預金を引き出したためそれを返還するようにという主張をされました。
解決への流れ
遺言について,被相続人が書いていないという主張をされていましたが、鑑定を行う前に相手方が折れ、遺言の内容を尊重した遺産分割協議を行うことになりました。預金を勝手に引き出して使ったという主張を受けた部分については、過去の雑多な領収書類を整理して提出し、出金の大部分については理由があるという前提のもとで遺産分割協議を行いました。
被相続人と同居していた相続人が他の相続人から勝手に預金を引き出したとの主張を受けることはよくあります。実際は被相続人の世話のために出金したお金を使っていたというケースにおいては、特に1万円を超すような大きな出費について領収書を残しておくことが重要です。ただし、領収書がない場合についても、例えばリフォームをしたという事実からリフォーム費用相当額の出費に正当性があることを主張するなど、証拠については工夫の余地があります。毎月被相続人に自由に使えるお金を渡していた、というケースであれば覚書を作成しておくほうが安全です。また、本件のように遺言は本人が書いていないと争われることがありますので、公正証書遺言を作成したほうが安全です。