この事例の依頼主
20代
相談前の状況
すすきの条例違反、具体的には、飲食店スカウトの従業員が、おとり捜査で検挙された事案です。捜査機関の捜査手法がまともであれば仕方ないのですが、単に店舗案内のビラを配っていた従業員に対し、おとり捜査官は積極的に、店への案内を求めました。従業員は、条例で客引き行為が禁止されていることを知っていたので、店舗の案内は断ったのですが、歩きながら話しかけてくる店員に対し、横に並んで歩きながら質問に答えていたところ「付きまとい行為」を理由に検挙されました。事実を認めれば罰金で済むので、多くの場合、被疑者は意に沿わない自白を余儀なくされる事案でした。
解決への流れ
通常、何が何でも黙秘させる戦術を採ることはあまりないのですが、この事案に関しては、当初から完全黙秘を勧めました。被疑者の供述をもとに現場を確認し、被疑者供述が信用出来るものであることを確認しました。そのうえで、勾留準抗告及び勾留理由開示を申し立て、身柄拘束の不当性を争いました。被疑者の言い分は勾留理由開示裁判の中で、裁判官面前供述として証拠化しました。供述内容から被疑事実の要旨の記載内容を合理的に説明出来た(犯罪を意図していない)結果、検察官は、被疑者を取り調べることなく、満期をまたずに釈放しました。結局、事件も不起訴となり、罰金さえも払わずに済みました。
すすきのでは、看板の文字を読ませて「勧誘行為」を理由に検挙したり、捜査機関は点数稼ぎに躍起になっています。いわゆる人質司法がまかり通っている日本の司法においては、被疑者は勾留が長期化することより、罪を認めてでも釈放してもらいたいという気持ちになりがちです。本件では、捜査機関に対してきちんと筋を通したことで、結果的に身柄拘束も長くならず、釈放してもらうことが出来ました。勾留さえも認めさせないことが出来れば最高の結果だったのですが、勾留が認められてしまったことは唯一の心残りです。