犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

遺留分算定の基礎となる財産が問題となった事例

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正岡 健徳 弁護士が解決
所属事務所きざし法律事務所
所在地神奈川県 茅ヶ崎市

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

ご相談者は、遺言により、相続財産の全てを取得した方でしたが、もう1名の相続人から、遺留分侵害額請求の通知が届いたとのことでご相談に来られました。

解決への流れ

相手方には代理人が就いていたこともあり、すぐに依頼を受け、交渉から開始することなりました。遺留分の算定に当たっては、まず遺留分算定の基礎となる財産を確定する必要がありますが、特別受益のうち一定の条件のものは、遺留分算定の基礎となる財産に加算しなければなりません。また、遺留分権利者に特別受益が認められる場合は、遺留分の算定から控除することになります。本件では双方ともに特別受益があり、とりわけ相談者は10年以上前に建築資金等の贈与を受けていたため、これが「遺留分権利者に損害を加えることを知って」なされた贈与に当たり、遺留分の基礎となる財産に加算する(遺留分侵害額が増える)かどうかが問題でした。以上のような争点もあり、交渉では折り合いがつかず、調停に移行することになりました。調停では、「遺留分権利者に損害を加えることを知って」なされた贈与に当たらないことを丁寧に主張・立証し、相手方の特別受益も指摘したことで、訴訟にまでもつれこむことなく、円満に和解することができました。

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正岡 健徳 弁護士からのコメント

「遺留分権利者に損害を加えることを知って」なされた贈与にあたるかどうかについては、その解釈・当てはめの参考となる裁判例等が比較的乏しいこともあり、当時の財産状況等を踏まえて、丁寧な主張を心がけました。また、並行して相手方の特別受益についても主張したことが効果的だったかと思います。遺留分と聞くと、遺留分割合に目がいきがちですが、近時の法改正もあって、遺留分算定の基礎となる財産の算定が複雑となるケースや、遺留分権利者の特別受益が問題となる事案もありますので注意が必要です。