この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
会社上司から加重労働を強いられたことを原因として業務中に交通事故を起こした結果、会社から病院に行くことを妨害されただけでなく、事故により損傷した会社所有の車両の修理費用を請求されていたことなどから相談を受けました。弁護士が相談者から事情を聞き取り事実関係を精査した結果、会社の相談者に対する一連の行為が違法であることは当然のこととして、相談者の勤務態様から相当額の未払い残業代が発生していることが窺われました。早速、会社に対し、前記行為が違法であることを強く非難した上で、勤怠管理に関する資料一式の開示を求め、労働審判を申し立てることとしました。
解決への流れ
会社は一連の行為が専ら依頼者の杜撰な勤務態度にあると主張し、未払い残業代についても依頼者の怠惰な勤務態度に起因するもので支払い義務はないとの答弁を行いましたが、会社の主張は客観的な資料に基づかない実体と乖離したものであることを、依頼者の有する数少ないながらも客観的な資料をもとに丹念に反論したところ、会社の違法行為が認定されるとともに、裁判所からタイムカードに記載されている労働時間を減ずべき正当な理由は認められないとの心証を形成していただき、請求額をほとんど減ぜられることなく和解が成立することとなりました。
勝因は、弁護士自身が使用者側の弁護をすることが多く、使用者側がいかなる防御策を取ることが多いか、また、当該防御策にはどのような点にウィークポイントが存しているかを熟知し見抜く力に長けていた点にあると考えています。