犯罪・刑事事件の解決事例
#遺言

不利な内容の遺言について遺言無効の判決を得た事案

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千田 賢 弁護士が解決
所属事務所四谷東法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

60代 女性

相談前の状況

父親(享年99歳。相続人は長男と長女の2人)が94歳のときに書いた自筆証書遺言について、長女からの相談。父親は認知症を患い90歳のときに長男が施設に入所させたが、長男は長女には父親の居場所を教えず、接触させないようにした。9年後、父親は入院先の病院で死亡したが、長女はその病院名すら教えて貰えなかった。長男が長女に示した父親の遺言書には「長女には100万円、残りは全て長男に相続させる」とあった。父親は元会社経営者で長男がその会社を引き継いでいたが、父親名義の不動産(土地とビル)は長男が全て取得するということになってしまうのか。遺言書を書いたときに父親は認知症だったのだから、遺言は無効ではないのか。父親には長年会うこともできなかったため、長女の手元には何の証拠もない。そこで、調査をした上、遺言無効確認訴訟を提起することにした。

解決への流れ

父親がどこで死亡したのかさえ教えて貰えなかったので、弁護士の権限を使って調査した上、死亡した病院を突き止め、カルテを入手した。カルテに書いてある入通院歴、施設入所歴から、さらに他の病院のカルテや入所施設の記録を入手し、精査したところ、「父親は遺言作成当時、遺言書の内容を理解できるだけの知的能力を有していなかった」と思われた。そこで、遺言無効確認訴訟を提起した。訴訟では、カルテ等の資料を証拠として提出したほか、父親の身近にいた長男の妻の証人尋問を行い、その結果、裁判所は、遺言は無効であるとの判決を下した。長男は控訴したが、高裁の裁判官も「1審の結果がひっくり返ることはない」と言って長男に和解を勧め、長男と長女は、父親の遺言が無効であることを前提にした(つまり遺産は半分ずつに分ける)和解をして訴訟は終了した。

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千田 賢 弁護士からのコメント

親が生きているうちから相続争いは始まっていた、という事案です。94歳、認知症、自筆証書遺言、他の相続人と接触させない、死亡した病院すら教えてくれない等、怪しい臭いがプンプンする事件でした。調査によって隠された事実を暴き、最終的には証人尋問で決定的な証言を引き出し、遺言無効の判決を得ることができました。