この事例の依頼主
女性
相談前の状況
ご相談者様は、職場の同僚からいわゆる疑似恋愛型セクハラ(相手に好意があり、嫌がっていないと思い込んで起こるセクハラのことをいいます。)に遭い、雇用主である会社に対して被害を訴えたところ、逆に会社から(慰謝料の金額を確定させるために)民事調停を起こされたため、ご相談に来られました。事情をお伺いしたところ、相当程度の期間にわたりセクハラと判断せざるを得ない様々なやりとりが行われていることや、それを裏付ける証拠としてLINEのやりとりや手書きの日記といったものが残されていることがうかがわれましたので、民事調停の中で妥当な金額の支払を受けられるようにするべく、ご依頼をお受けすることとなりました。
解決への流れ
雇用主である会社は、LINEのやりとりだけ見るとご相談者様にも好意があったのではないかなどと主張し、当初は、かなり低額の支払を打診してきました。ですが、LINEのやりとりは職場での人間関係が悪化することを恐れてセクハラ加害者に合わせていただけであり、ご相談者様の真意は手書きの日記に記載されているとおりであると強く主張したところ、調停委員もこちらの主張に親身に応えてくれたため、最終的には、会社が打診してきた金額の2倍以上の金額を会社が支払うという内容で調停を成立させることができました。そして、ご依頼をお受けしてから4か月程度で、無事に会社から解決金が支払われて、早期解決が実現しました。
セクハラについては、(パワハラとは異なり)業務上の必要性がないことから、基本的にはセクハラに該当する行為等があれば損害賠償請求が認められやすいということができますが、本件で難しかったのは、LINEのやりとりだけを見ると、ご相談者様とセクハラ加害者の関係性に疑念の余地があると言われかねないところでした。もっとも、本件では、LINEのやりとりの中にも疑似恋愛型セクハラをうかがわせる内容が多数見受けられたのみならず、別にご相談者様が作成されていた日記の内容からすると、ご相談者様がセクハラ加害者に好意を持っていたとはおよそ言い難いことは明らかでした。そのため、このことを強く主張することが何よりも最優先でしたし、その結果として、調停委員を味方に付けることができ、ご相談者様も納得できるだけの解決金を早期に獲得できたということができると思います。また、セクハラ、パワハラその他のハラスメント事案では、録音や日記(なお、手書きのほうがよりよいということができます。)といった証拠の有無や内容によって最終的な結果が大きく左右されるため、本件において、セクハラ加害者との間のLINEのやりとりだけでなく、自身でまとめた手書きの日記が証拠として存在していたことが、よりよい結果に結びついたということもできます。